五月礼讃

こんにちは、制作部のNです。

私は自転車で会社まで通っているのですが、最近は日差しが強くなり、夏が近づいているなあと感じています。

どうでもいいですが私は一年の中で5月が1番好きです。

今日は映画ではなく、毎年5月になると思い出す詩をご紹介したいと思います!

五月礼讃/与謝野晶子

五月は好い月、花の月、
芽の月、香の月、色の月、
ポプラ、マロニエ、プラタアヌ、
つつじ、芍薬、藤、蘇枋、
リラ、チユウリツプ、罌粟の月、
女の服のかろがろと
薄くなる月、恋の月、
巻冠に矢を背負ひ、
葵をかざす京人が
馬競べする祭月、
巴里の街の少女等が
花の祭に美くしい
貴な女王を選ぶ月、
わたしのことを云ふならば
シベリアを行き、独逸行き、
君を慕うてはるばると
その巴里まで著いた月、
菖蒲の太刀と幟とで
去年うまれた四男目の
アウギユストをば祝ふ月、
狭い書斎の窓ごしに
明るい空と棕櫚の木が
馬来の島を想はせる
微風の月、青い月、
プラチナ色の雲の月、
蜜蜂の月、蝶の月、
蟻も蛾となり、金糸雀も
卵を抱く生の月、
何やら物に誘られる
官能の月、肉の月、
ヴウヴレエ酒の、香料の、
踊の、楽の、歌の月、
わたしを中に万物が
堅く抱きしめ、縺れ合ひ、
呻き、くちづけ、汗をかく
太陽の月、青海の、
森の、公園の、噴水の、
庭の、屋前の、離亭の月、
やれ来た、五月、麦藁で
細い薄手の硝杯から
レモン水をば吸ふやうな
あまい眩暈を投げに来た。

いかがでしょうか?
特に「女の服のかろがろと薄くなる月」という表現がとても気に入っています。

それではまた!